2011年5月1日日曜日

文化政策研究会を立ち上げました

2011年度のテーマは「文化政策の前提を問う」です。文化政策は、近年非常に注目を浴びている政策領域ですが、学問的にはとても整備が進んでいるとはいえない状況です。本研究会では、これまで文化政策学領域で暗黙にシェアされてきた前提を問うことで、当該研究分野の活性化を目指してゆきたいと考えております。月1回程度のぺースで開催予定です。皆様のご参加をお待ちしております。

一橋大学大学院市民社会研究教育センター
プロジェクト・ディレクター
青野智子

お問い合わせ先:culturalpolicysg(AT) gmail.com 
(AT)を@に変えて送信して下さい。

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趣旨:
文化政策が注目を浴びているという。1990年代以降の公的助成金制度の拡充、文化芸術振興基本法の成立の過程で、あるべき文化政策についての議論が高まり、大学においても、文化政策に関わる授業科目の開講、独立の文化政策関係学部・学科の設置がすすんできた。私たちは漠然と、文化に対する関心の高まりによって文化政策学の存在意義がますます重要となってくるであろうと考え、また現実世界も、そのような方向に動いているというのがコンセンサスになりつつある。

しかしながら、なぜ文化政策が有望な学問分野であるのか、なぜ文化に対する関心が高まりつつあるのかということになると、それらの問いに正面から答えようとする試みは、これまでほとんどなされてこなかった。そもそも実際のところ、なぜ文化政策が存在しているのか、その根拠ですら不明のまま、自明視されてきたといってよい。

このような状態は、学問的観点と実践的観点のいずれからも深刻な事態であるといえる。

第一に、学問的には、文化政策を成立させている前提を理解しないということは、学問分野としての文化政策学が、知的成果を蓄積してゆくための土台を有していないということを意味するからである。

第二に、実践的には、文化政策が一学問分野として確立していないということは、実際の政策実践において必要となる、正しい現状認識を得られないことを意味しているからである。

本セミナーは、文化政策の前提を問うことで、文化政策学を基礎づける理論と歴史的パースペクティブの構築を目指すものである。そのことは、文化政策学の確立という学問的文脈に貢献するとともに、文化政策の現在の見取り図や将来の方向性を指し示すという、実践的な要請にも応えるものとなるであろう。

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